常磐新幹線の代わりに徹底した常磐線高速化を行う。
事業費は、フル規格の2兆円に対し、高速化なら2,000億円となり、在来線も存続できる。
東京水戸間が72分から50分に短縮でき、東京から宇都宮や高崎までの48分と同等になる。
現在の特急料金は「東京~宇都宮・高崎」が2,840円で「東京~水戸」が1,580円であり、時短で新幹線扱いになり値上げできて増収できるため、JR東日本も分担するだろう。
(イ)上野駅付近
事業費は、フル規格の2兆円に対し、高速化なら2,000億円となり、在来線も存続できる。
東京水戸間が72分から50分に短縮でき、東京から宇都宮や高崎までの48分と同等になる。
◆ 概要
北関東3県(茨城・栃木・群馬)は何かと比較され、ライバル関係にある。しかし、東京駅から各県中心都市までの鉄道所要時間は、宇都宮駅・高崎駅までが48分であるのに対し、水戸駅までは72分となり、大きな違いがある。
これは新幹線が通っているかの違いであるが、水戸駅まで新幹線を通すには1km当たり150億円として1兆8,000億円を要し、受益者が茨城県だけであることを考えると現実的ではない。
そもそも、常磐新幹線は基本計画路線にもなっていないため、待っているだけでは順番は回ってこない。先頭に並ぶためには、山形・秋田新幹線のようにフル規格以外の方法にするのが妥当である。
そこで、次の3点の事業によって「東京~水戸」の在来線を表定速度140km/hで走行し、所要時間を50分に短縮することを目指す。
①「上野~南千住」に特急専用の単線トンネルを建設してショートカット
②踏切(「取手~水戸」に約100箇所)を全て除却
③全区間を改良して160km/h運転
概算事業費は、①600億円、②1,000億円及び③400億円が見込まれ、全体で2,000億円になり、①5分、②10分及び③5分の短縮を見込む。この場合、国1,000億円、JR東日本500億円、茨城県500億円くらいの分担が予想される。フル規格新幹線の場合、首都圏だから200億円/kmは要し、東京水戸間は約100kmであるから、2兆円となる。
北陸新幹線の場合、「高崎~敦賀」で約4兆円の事業費であり、国が約2兆円負担している。受益県が長野・新潟・富山・石川・福井の5県とすると、1県当たりの国負担が4,000億円である。新幹線より一桁少ない事業費で同等の効果が得られるのだから、受益者が茨城県だけではあるが、国負担1,000億円が多いとはいえないだろう。
現在の特急料金は「東京~宇都宮・高崎」が2,840円で「東京~水戸」が1,580円であり、時短で新幹線扱いになり値上げできて増収できるため、JR東日本も分担するだろう。
なお、狭軌のままであるから引き続き現存車両が運行できるため、次の車両更新の際に高速車両になることを想定しており、車両開発・製造費は計上していない。
また、踏切除却には、道路予算も利用できる場合がある。
◆ 具体的な事業内容
① ショートカット新線
(ア)概要
上野駅から南千住駅にかけ、特急専用の単線トンネルを建設する。ただし、普通列車は現状と同じく日暮里経由で走行する。ダイヤが乱れた場合には特急も日暮里回りにすればよいため、途中に交換設備は設けない。
上野駅高架線を東に分岐し、「入谷口通り」を上野郵便局付近(Google Maps)で地下に入り、「金杉通り」の地下を進んで日比谷線三ノ輪駅の直下まで進む。その後、日比谷線の下を通り、南千住駅南側の貨物線の敷地で地上に出る。
地上に出てからは、既存貨物線を使い、南千住駅北方にある既存分岐線(Google Maps)から常磐線本線に戻る。
(イ)上野駅付近
上野駅付近では、「入谷口通り」の西側にある建物へのアクセスを確保するため、地下出入口をなるべく上野寄りに設置する必要がある。このため、「地平ホーム行きの常磐線上り線」及び「上野駅付近で東側に位置する引上線」は全て廃止し、上野駅高架橋をなるべく南で分岐できるようにする。常磐線で地平ホームを使うのは朝夕の特急くらいであるため、「上野~鶯谷」が単線でも運用可能であろう。
ちなみに、「入谷口通り」は都電があったため道路幅が広いだけであり、交通量も多くないことから、一部区間が4車線から2車線になったとしても問題はない。
(ウ)南千住駅付近
(ウ)南千住駅付近
南千住駅付近において、貨物線は4線あるが、三河島方面も南千住方面も結局は単線になる。このため、三河島方向と往来する線に加え、南千住方向から来る列車を貨物駅へと折り返す引上線を合わせ、計2線あれば運行可能であろう。そこで、北側2線を潰して地下出入口を作る。
現在、南千住駅西方には「駅西方500m道路」と「駅西方300m道路」の横断道路があり、日比谷線は「駅西方500m道路の下」かつ「駅西方300m道路の上」を通すため、39‰の急勾配となっている。
ショートカット新線では急勾配を避けるため、「駅西方300m道路の下」を通し、「つくばエクスプレス三ノ輪トンネル」の上を通るようにする。「三ノ輪トンネル」は、急勾配で深くなっているため、うまく避けられると考えられる。
単線トンネルであるため幅が狭くて工事費が安く、通過する土地が道路及び日比谷線下部だけのため、用地買収も簡単である。
② 踏切除却
② 踏切除却
踏切については、「南千住~取手」には無いが「取手~水戸」に100箇所程度あり、これを除却する。早急に除却可能な踏切は次の4点が考えられ、工事現場で使うような仮設橋をまず設置し、時間をかけて完全除却していくのがよい。なお、茨城県では京阪神地区とは異なり、歩道橋であっても原付・トラクターが走行できるようにする必要がある。
・現在も「自動車通行不可」であるため、原付やトラクターも通行可能な歩道橋を設置
・自動車は数百m近隣の立体交差を通ればよいため、踏切箇所には原付やトラクターも通行可能な歩道橋を設置
・現在も「大型車通行不可」であるため、普通車が通行できる簡易な仮設橋を設置
・踏切周辺の敷地に余裕があるため、大型車も通行できる仮設橋を設置
しかし、大型車を横断させる必要があるが、近隣に立体交差も無く、踏切周辺の敷地に余裕が無い箇所については、仮除却も難しい。このため、これらの箇所は踏切除却を優先的に進めることとし、除却するまでは130km/hに減速して走行する。
具体的には次の場所が該当すると思われ、これ以外にも多少あると思われる。
・藤代駅すぐ西の踏切 (Google Maps)
・龍ケ崎市駅すぐ北の踏切
(Google Maps)
・荒川沖駅すぐ南の踏切 (Google Maps)
・神立駅東方2番目の踏切 (Google Maps)
・羽鳥駅すぐ北の踏切 (Google Maps)
・岩間駅すぐ北の踏切 (Google Maps)
・友部駅すぐ西の踏切 (Google Maps)
・常磐自動車道脇(内原~赤塚)の踏切
(Google Maps)
③ 路線改良
路線改良については、160km/h運転が可能なようにするため、ポイント改良、カント調整、路盤強化、信号改良、ホームドア設置等を行う。
車両については、1994年にJR東日本で試作されたE991系(交直流対応・狭軌・車体傾斜装置付)が最高速度200km/hであり、実際に180km/hで走行したと言われている。そこで、これをベースとして高速化車両を改めて開発すればよい。
特急高速化に伴って普通列車を追い抜くことが多くなる。現在、松戸駅は3面6線あるが、快速3線、各停3線で使用しており、特急待避もしているがダイヤ制約がある。そこで、これを快速2面4線、各停1面2線に変更し、特急待避がしやすいように改良する。◆ 工期
改軌とは違って徐々に進めれば良いため、全踏切除却は終わらないかもしれないが、徳川光圀公生誕400年である2028年完成を目指すとよいだろう。