リニア開通後、諏訪・松本方面にはリニア山梨県駅での高速バス乗換が有利になり、中央東線から特急全廃となる可能性がある。
そこで、リニア山梨県駅に身延線を延伸し、諏訪・松本方面への特急を運行する。
事業費は、800億円程度が見込まれる。
そこで、リニア山梨県駅に身延線を延伸し、諏訪・松本方面への特急を運行する。
事業費は、800億円程度が見込まれる。
◆ 概要
静岡県との調整状況によって流動化しているが、2027年にリニアが「品川~名古屋」で開通することになっている。
リニア山梨県駅(Google Maps)の目の前には甲府中央スマートIC(仮称)が2024年完成予定で建設されており、リニア開通後は高速バスが接続する。この場合、茅野駅まで60分、松本駅まで90分が見込まれ、現行の「あずさ」とダイヤを比較すると、次のように予想される。
リニアのほうが料金が高くなるという意見もある。しかし、同じ距離で速度が2倍になれば、2往復していた車両や乗務員を4往復できるのだから、リニア料金が新幹線同等でも採算は取れるだろう。また、バス区間は「あずさ」より安いと考えられることから、所要時間が短いのに料金が安いということになる。このため、中央本線特急の本数は激減し、廃止になることも考えられる。
ただし、リニア山梨県駅が鉄道乗換駅ならば、高速バスより多少早く到着できる。
多少しか早くならないなら意味が無いという意見があるかもしれない。しかし、高速バスはインターチェンジと市街地との間で渋滞することも多く、鉄道は時間が正確であることから、必要性は高いだろう。
ただし、中央本線はJR東日本なのに身延線はJR東海であるため、受益者であるJR東日本のためにJR東海が身延線の分岐線を建設する理由がない。そこで、身延線の国母駅から「リニア山梨県駅」まで新線を建設するとよい。
事業費は、①700億円、②+③100億円の計800億円を見込む。
◆ 具体的な事業内容
① 身延線分岐線
身延線国母駅から「リニア山梨県駅」まで、単線で約3.5kmの新線を建設する。
中央自動車道沿いに建設する考え方もあるが、盛土区間のため、盛土を崩してしまう危険性がある。また、高速道路上に二重高架にする方法もあるが、供用中の道路上に架けるのは大変であろう。
このため、国母駅南方にある国母工業団地内を南北に貫く道路の東側(Google Maps)に高架単線を建設するのがよいと考える。既存の建物が少なく、大部分が工業団地内であるため、用地買収は難しくないと考えられる。
事業費は、身延線分岐線は都市部ではあるが途中駅も無くて単線であるため、整備新幹線より多少高くなるがせいぜい倍と考えられる。現在建設中の整備新幹線がkm当たり100億円であることを考え、km当たり200億円で700億円を見込む。
事業費は、身延線分岐線は都市部ではあるが途中駅も無くて単線であるため、整備新幹線より多少高くなるがせいぜい倍と考えられる。現在建設中の整備新幹線がkm当たり100億円であることを考え、km当たり200億円で700億円を見込む。
② 身延線改良
身延線は最高速度が85km/hであるため、「甲府~山梨県駅」は約11kmと短いにも関わらず、無停車でも11分と考えられる。そこで、路盤改良などを実施して最高速度110km/hに改良する。
また、「甲府~善光寺」は中央本線と並行しているが、会社が違うこともあって渡り線が無い。そこで、渡り線を挿入してリニア連絡特急は中央本線を走行できるようにする。
③ 中央本線改良
【上諏訪駅】駅前後にあるポイント(片開き16番分岐器:60km/h制限)は、原則として特急停車駅だから上下均等とするため両開きに変更する。その際、少し高速通過が可能な20番分岐器(90km/制限)に交換する。
中央本線は、「甲府~松本」で茅野駅のみ停車する「あずさ」の場合、「甲府~茅野」は61.1kmが36分なので表定速度102km/hであって改良余地は小さい。一方、「茅野~松本」は40.2kmが25分なので表定速度96km/hであり、「茅野~松本」に改良の余地がある。
「茅野~松本」について停車駅の多い「あずさ」では、「茅野~岡谷」の15.2kmが12分(1駅停車)なので表定速度76km/hである。一方、「岡谷~松本」の25.0kmが17分(1駅停車)なので表定速度88km/hであり、十分速い。つまり、速度の遅い「茅野~岡谷」を改良するのが効果的である。
「茅野~岡谷」の最大の問題は、この区間の大部分が単線ということである。特に、「複線⇔単線」の境界部のポイントで減速して時間を無駄にしている。このため、多額の費用を要する複線化ではなく、高速ポイント(分岐角度が小さい「=番数字が大きい」ポイント)への交換を行う。
【茅野~上諏訪】両駅の中間付近にある普門寺信号場(Google Maps)では75km/h制限(両開き16番分岐器)となって減速を強いられる。そこで、38番分岐器(Google Maps:成田スカイアクセス)のような130km/hでも通過可能なポイントに交換する。
【下諏訪駅】ほとんどの特急が通過するため、駅前後にあるポイントは既に一線スルーとなっており、そのままとする。
【岡谷駅】下諏訪方にあるポイント(片開き16番分岐器:60km/h制限)を高速通過が可能な片開き28番分岐器(100km/制限)に交換する。
②と③の改良により、100億円の事業費と10分の短縮を見込み、次のようになる。
②と③の改良により、100億円の事業費と10分の短縮を見込み、次のようになる。