山陽新幹線(新大阪~岡山)を標準軌・狭軌併用の三線軌にし、ミニ新幹線で山陰新幹線、四国新幹線、津山新幹線を実現する。
◆ 概要
◆ 軌道の種類
◆ 事業概要
具体的な事業は、次の6点である。
① 山陽新幹線「新大阪~岡山」の三線軌化
② 新大阪駅のホーム増設
③ 相生駅のホーム増設
④ 岡山駅のホーム増設
⑤ 三線軌の高速通過分岐ポイントの開発
⑥ 超高速狭軌電気式気動車の開発
概算事業費は、①2,000億円、②500億円、③200億円、④200億円、⑤100億円及び⑥1,000億円が見込まれ、全体で4,000億円になる。「相生~岡山」は四国専用の改良であることを考えると、山陰津山4割及び四国6割の分担がよいだろう。受益効果を考えると、国2,000億円、JR西日本800億円、鳥取・島根・香川・愛媛・高知200億円、岡山・徳島100億円くらいと見込まれる。
山陰新幹線「相生~鳥取~出雲市」は約200km、四国新幹線「岡山~四国4県」は約300kmであり、フル規格は100億円/kmなので合計5兆円かかる。時短効果は小さいとはいえ、リニア新大阪開通後には東京・名古屋から2回乗換となり、山陰・四国への鉄道利用は非常に不便になる。これを新大阪の1回乗換とするだけで利便性は大きく向上するだろう。
◆ 具体的な事業内容
① 山陽新幹線「新大阪~岡山」の三線軌化
山陽新幹線「新大阪~岡山」160kmの大部分はバラスト軌道なので、三線軌対応枕木に交換し、外側レールを共用する三線軌を敷設する。バラスト軌道ではない区間が橋梁区間に少しだけあるが、枕木追加、土台増設等で対応する。
新幹線車両の幅は「3,360~3,380mm」であるため、レールから最大972.5mm外に出ている。JR東日本のミニ新幹線車両の幅は「2,945~2,950mm」であるため、レールから最大941.5mm外に出ている。つまり、ミニ新幹線車両の方が外に出る幅が小さいため、三線目を内側と外側のどちらに追加しても車両接触の問題はない。
狭軌車両を中心側に走らせた場合、新神戸駅停車時にホームと車両との間隔が40cm以上になってしまう。このため、狭軌車両は外側を走行するようにし、中心寄りに三線目のレールを追加する。
② 新大阪駅のホーム増設
新大阪駅に狭軌用のホームが必要だが、現状に余裕が無い。山陰新幹線と四国新幹線の合計で毎時2~3本と考えられるので、現駅の南側に1面2線で増設する。
アプローチ線については、車両基地(網干総合運転所宮原支所)内に設置する。新大阪駅西方のX字渡り線を東に移設し、新たな渡り線の西側で南方向に狭軌線を分岐する。なお、アプローチ線には、車両を引き上げる留置線も必要であろう。
新大阪駅の新幹線駅部分は、4階に新幹線ホーム、3階に新幹線コンコースとタクシー乗降場がある。ミニ新幹線用の増設ホームはタクシー乗降場の上部になるが、そのままでは現在の20番線のようにコンコース無しになってしまう。このため、増設ホームを嵩上げして5階に設置し、4階にコンコース、3階にタクシー乗降場とする。
③ 相生駅のホーム増設
新幹線相生駅は、通過線を除いて2面2線であるが、当初は第二副本線も計画されており、スペースがある。上下線の外側に高架橋を追加して狭軌線を外側に通す。相生駅では山陰アプローチ線を分岐し、四国新幹線は山陽新幹線本線に戻る。
相生駅北には国道2号が走るので、必要であれば国道を少し北に移設し、高架橋を建設する。相生駅南には2面3線の在来線があるので、これを2面2線にして1線減らし、減らした1線の上に高架橋を建設する。
なお、下りの山陰アプローチ線は、駅西端の分岐では近すぎて山陽新幹線高架の下を通すのが難しい。このため、山陰アプローチ線はホーム中途で分岐する。つまり、下り山陰新幹線は、新大阪寄りに停車する。
なお、狭軌線は相生駅外側しか通さないため、山陰新幹線を併結しない四国新幹線が相生駅を通過する場合でも外側線を通ることになる。
④ 岡山駅のホーム増設
岡山駅では、高架で四国新幹線ホーム1面2線を建設する。ホーム西側では単線とし、瀬戸大橋線に合流する。
山陰・津山・高知方面は非電化である上、瀬戸大橋・高松・松山方面も直流電化であって新幹線の交流電化とは異なる。現在、ディーゼル車から非電化区間対応電車(電気式気動車など)へ置き換えが進んでおり、閑散区間の電化路線では架線撤去も考えられる。このため、今さら電化方式に手を加える必要性は低く、ミニ新幹線は非電化区間対応電車とするのがよいであろう。
長距離対応となる非電化区間対応電車は、ハイブリッド気動車になる。燃料発電をしてバッテリーを充電し、その電力で運行する方式である。発電をするのでパンタグラフは無い。
現在、ハイブリッド気動車では、高山本線特急用のJR東海HC85系が最高速度120km/hとなっていて最速である。ただし、HC85系に車体傾斜システムは搭載されてない。
◆ 具体的な所要時間
ミニ新幹線は完成までが早いことが利点であるから、瀬戸大橋開業30周年である2028年を目標に整備するのが望ましい。
事業費は、フル規格の5兆円に対し、ミニ新幹線なら4,000億円となり、在来線も存続できる。
◆ 概要
従来のミニ新幹線は、秋田・山形新幹線のように在来線を標準軌に改軌することで行われてきた。
山陰・四国新幹線の場合、各路線を改軌するのは高額で実現性が低いので、新幹線を標準軌・狭軌併用の三線軌にして狭軌ミニ新幹線にする。
◆ 軌道の種類
土台が構造物と一体化しているスラブ軌道では、三本目のレールを固定する土台の追加が難しい。しかし、枕木を使用するバラスト軌道の場合、枕木を三線軌用に交換してレールを追加すれば、三線軌にすることができる。
最近の新幹線はスラブ軌道主体のため、三線軌が可能となるバラスト軌道主体の新幹線は「東京~岡山」だけである。このうち、「東京~新大阪」は列車本数も多く、ミニ新幹線を挿入する余裕がない。また、リニア新大阪開業後、東京・名古屋と山陰・四国との往来は新大阪乗換となるため、新大阪以東にミニ新幹線を乗り入れる必要性は低い。
そこで、山陽新幹線「新大阪~岡山」において、狭軌レールを追加して三線軌化し、新大阪から山陰・四国へ乗換が不要になるミニ新幹線とする。
この際、岡山県の支援を得るため、津山への乗り入れも追加し、山陰・四国・津山新幹線とする。津山新幹線の必要性が高くないが、成田新幹線が頓挫したのは、通過する東京都に受益が無いことも理由であろう。その反省で北陸新幹線延伸の際は安中榛名駅を設置しているので、岡山県が利益を得ることは必要である。なお、津山市は、岡山県で岡山・倉敷に次ぐ人口3位の市である。
山陰・四国・津山新幹線とすることにより、中国・四国地方の7県(鳥取・島根・岡山・徳島・香川・愛媛・高知)が協力して大きな政治力になり、実現性が高まる。なお、青函トンネルで320km/h走行が検討されていることもあり、山陽新幹線を三線軌にしても標準軌車両の300km/h走行に影響を与えるものではないであろう。
◆ 山陰新幹線の経路
(1)智頭経由と伯備線経由との比較
山陰へのミニ新幹線としては、智頭経由と伯備線のどちらが良いかという議論になり、電化している伯備線の方が良いという考えもある。しかし、電気式気動車の技術向上により、架線不要電化の時代が到来しつつあるため、架線にこだわらずに比較すべきであろう。
現規格のままで所要時間を比較すると、「相生~鳥取~米子」と「相生~岡山~米子」の所要時間は、いずれも約145分である。伯備線はカーブが多い反面、智頭急行と山陰本線は高速化しているため、新幹線区間のある岡山経由が速いわけではない。さらに、カーブの多い伯備線よりも智頭急行・山陰本線の方が快適である。
また、JR西日本としても、保線、特急車両等の面で陰陽連絡線を1本に集中できることは歓迎であろう。具体的には、全て智頭経由にすることで総本数を削減できる。
そこで、山陰新幹線は、智頭経由のミニ新幹線とする。
(2)新幹線在来線分岐駅の姫路駅と相生駅との比較
山陰方面への分岐を姫路駅にする考えもあるが、姫路駅周辺は発展していて駅前後のアプローチ線建設が困難である。また、姫路分岐は相生分岐より所要時間が10分余計にかかる。時短のために新幹線区間を長く走行すべきであることから、相生駅での分岐とするのがよい。
(1)智頭経由と伯備線経由との比較
山陰へのミニ新幹線としては、智頭経由と伯備線のどちらが良いかという議論になり、電化している伯備線の方が良いという考えもある。しかし、電気式気動車の技術向上により、架線不要電化の時代が到来しつつあるため、架線にこだわらずに比較すべきであろう。
現規格のままで所要時間を比較すると、「相生~鳥取~米子」と「相生~岡山~米子」の所要時間は、いずれも約145分である。伯備線はカーブが多い反面、智頭急行と山陰本線は高速化しているため、新幹線区間のある岡山経由が速いわけではない。さらに、カーブの多い伯備線よりも智頭急行・山陰本線の方が快適である。
また、JR西日本としても、保線、特急車両等の面で陰陽連絡線を1本に集中できることは歓迎であろう。具体的には、全て智頭経由にすることで総本数を削減できる。
そこで、山陰新幹線は、智頭経由のミニ新幹線とする。
(2)新幹線在来線分岐駅の姫路駅と相生駅との比較
山陰方面への分岐を姫路駅にする考えもあるが、姫路駅周辺は発展していて駅前後のアプローチ線建設が困難である。また、姫路分岐は相生分岐より所要時間が10分余計にかかる。時短のために新幹線区間を長く走行すべきであることから、相生駅での分岐とするのがよい。
◆ 事業概要
具体的な事業は、次の6点である。
① 山陽新幹線「新大阪~岡山」の三線軌化
② 新大阪駅のホーム増設
③ 相生駅のホーム増設
④ 岡山駅のホーム増設
⑤ 三線軌の高速通過分岐ポイントの開発
⑥ 超高速狭軌電気式気動車の開発
概算事業費は、①2,000億円、②500億円、③200億円、④200億円、⑤100億円及び⑥1,000億円が見込まれ、全体で4,000億円になる。「相生~岡山」は四国専用の改良であることを考えると、山陰津山4割及び四国6割の分担がよいだろう。受益効果を考えると、国2,000億円、JR西日本800億円、鳥取・島根・香川・愛媛・高知200億円、岡山・徳島100億円くらいと見込まれる。
山陰新幹線「相生~鳥取~出雲市」は約200km、四国新幹線「岡山~四国4県」は約300kmであり、フル規格は100億円/kmなので合計5兆円かかる。時短効果は小さいとはいえ、リニア新大阪開通後には東京・名古屋から2回乗換となり、山陰・四国への鉄道利用は非常に不便になる。これを新大阪の1回乗換とするだけで利便性は大きく向上するだろう。
◆ 具体的な事業内容
① 山陽新幹線「新大阪~岡山」の三線軌化
山陽新幹線「新大阪~岡山」160kmの大部分はバラスト軌道なので、三線軌対応枕木に交換し、外側レールを共用する三線軌を敷設する。バラスト軌道ではない区間が橋梁区間に少しだけあるが、枕木追加、土台増設等で対応する。
新幹線車両の幅は「3,360~3,380mm」であるため、レールから最大972.5mm外に出ている。JR東日本のミニ新幹線車両の幅は「2,945~2,950mm」であるため、レールから最大941.5mm外に出ている。つまり、ミニ新幹線車両の方が外に出る幅が小さいため、三線目を内側と外側のどちらに追加しても車両接触の問題はない。
② 新大阪駅のホーム増設
新大阪駅に狭軌用のホームが必要だが、現状に余裕が無い。山陰新幹線と四国新幹線の合計で毎時2~3本と考えられるので、現駅の南側に1面2線で増設する。
アプローチ線については、車両基地(網干総合運転所宮原支所)内に設置する。新大阪駅西方のX字渡り線を東に移設し、新たな渡り線の西側で南方向に狭軌線を分岐する。なお、アプローチ線には、車両を引き上げる留置線も必要であろう。
新大阪駅の新幹線駅部分は、4階に新幹線ホーム、3階に新幹線コンコースとタクシー乗降場がある。ミニ新幹線用の増設ホームはタクシー乗降場の上部になるが、そのままでは現在の20番線のようにコンコース無しになってしまう。このため、増設ホームを嵩上げして5階に設置し、4階にコンコース、3階にタクシー乗降場とする。
③ 相生駅のホーム増設
新幹線相生駅は、通過線を除いて2面2線であるが、当初は第二副本線も計画されており、スペースがある。上下線の外側に高架橋を追加して狭軌線を外側に通す。相生駅では山陰アプローチ線を分岐し、四国新幹線は山陽新幹線本線に戻る。
相生駅北には国道2号が走るので、必要であれば国道を少し北に移設し、高架橋を建設する。相生駅南には2面3線の在来線があるので、これを2面2線にして1線減らし、減らした1線の上に高架橋を建設する。
なお、下りの山陰アプローチ線は、駅西端の分岐では近すぎて山陽新幹線高架の下を通すのが難しい。このため、山陰アプローチ線はホーム中途で分岐する。つまり、下り山陰新幹線は、新大阪寄りに停車する。
なお、狭軌線は相生駅外側しか通さないため、山陰新幹線を併結しない四国新幹線が相生駅を通過する場合でも外側線を通ることになる。
④ 岡山駅のホーム増設
岡山駅では、高架で四国新幹線ホーム1面2線を建設する。ホーム西側では単線とし、瀬戸大橋線に合流する。
岡山駅は、3・4番線ホームを閉鎖し、跡地に高架で四国新幹線ホーム1面2線を建設する。
現在、岡山駅は、4面のホームを山陽線下り(1・2番線)、山陽線上り(3・4番線)、瀬戸大橋線(5~8番線:切欠ホーム)及び津山・吉備線(9・10番線)で使用している。山陽線の上下線を各1線に減らし、本数が多い時間帯は直列に2編成(AとBの位置)を停車させる。
特急については、電化特急「やくも」を5~8番線、非電化特急「いなば」を9・10番線に移す。なお、新幹線開通後は、特急「やくも」は廃止になると考えられる。
⑤ 三線軌の高速通過分岐ポイントの開発
三線軌の分岐ポイントは複雑になるため、なるべく設置しないことが望ましい。
やむを得ず設置する場合、次のような仕組みになると思われる。
【標準軌の分岐】【狭軌の分岐】
【分離】
いずれにしろ複雑になるため、できるだけ分岐ポイントは設置しないようにする。
このため、狭軌線については、西明石・姫路の副本線(乗降ホーム)に入る分岐ポイントは設置しない。
上下渡り線については、なるべく設置しない方がよいので、基本的には全部撤去する。
その結果、次のような配線図にする。
⑥ 超高速狭軌電気式気動車の開発
ミニ新幹線は、狭軌ハイブリッド気動車のため、いきなり最高300km/hは難しいであろう。しかし、「新大阪~岡山」の途中で「のぞみ・みずほ」に抜かれるようでは「乗換の方が早い」と言われて意味がない。
そこで、ミニ新幹線は新神戸のみ停車とし、所要時間を短縮する。具体的なダイヤは次のようになり、「新大阪~岡山」の161km(実キロ)を54分で走行できる表定速度180km/hの車両が必要となる。表定速度180km/hということは、最高速度230km/hの狭軌車両が必要となる。
山陰・津山・高知方面は非電化である上、瀬戸大橋・高松・松山方面も直流電化であって新幹線の交流電化とは異なる。現在、ディーゼル車から非電化区間対応電車(電気式気動車など)へ置き換えが進んでおり、閑散区間の電化路線では架線撤去も考えられる。このため、今さら電化方式に手を加える必要性は低く、ミニ新幹線は非電化区間対応電車とするのがよいであろう。
長距離対応となる非電化区間対応電車は、ハイブリッド気動車になる。燃料発電をしてバッテリーを充電し、その電力で運行する方式である。発電をするのでパンタグラフは無い。
現在、ハイブリッド気動車では、高山本線特急用のJR東海HC85系が最高速度120km/hとなっていて最速である。ただし、HC85系に車体傾斜システムは搭載されてない。
ハイブリッド気動車の技術は急速に進歩しているので、100億円かけて5年くらいあれば、車体傾斜システムを搭載した230km/hの超高速ハイブリッド気動車の開発は可能であろう。
◆ 具体的な所要時間
① 山陰新幹線・津山新幹線
山陰新幹線・津山新幹線の開業時のダイヤは、次のような感じになる。
現在は品川駅8:59発で鳥取駅13:52着であるから、4時間53分である。これがリニア効果もあり、3時間26分に短縮される。
現在は姫路で特急に乗換だが、開業後は相生まで新幹線を利用できることもあり、大幅な短縮である。
その後、車両高速化、路盤改良等によって速度を向上させた場合、次のような感じになる。
品川から鳥取までは、改良前は3時間26分だったが、改良後は3時間10分に短縮される。
このくらいの所要時間になると、航空機とも勝負になる。鉄道は1日12本程度が想定されるため、むしろ鉄道の方が有利かもしれない。
② 四国新幹線
四国新幹線の開業時のダイヤは、次のような感じになる。
現在は品川駅7:49発で高松駅12:07着であるから、4時間18分である。これがリニア効果もあり、3時間14分に短縮される。その後、車両高速化、路盤改良等によって速度を向上させた場合、次のような感じになる。
品川から高松までは、改良前は3時間14分だったが、改良後は2時間58分に短縮される。
改良前でも航空機と十分勝負になるが、改良後に3時間を下回ることで時短効果がわかりやすくなる。◆ 工期
ミニ新幹線は完成までが早いことが利点であるから、瀬戸大橋開業30周年である2028年を目標に整備するのが望ましい。